茨城県立下妻特別支援学校いじめ防止基本方針

〈いじめの定義〉

 いじめとは「児童生徒に対して,当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等,当該児童生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって,当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」をいう。
 なお,いじめの場所は,学校の内外を問わない。
※いじめ防止対策推進法(平成25年6月公布 第二条 一項より),茨城県いじめ防止基本方針(Ⅰ,1)

1 いじめの防止等のための対策に関する基本的な考え方(基本姿勢)

「いじめは,どの学校,どの学部でも起こりうる」という認識の一方,「児童生徒等は,いじめを行ってはならない。」(いじめ防止対策推進法第4条)との意識をもっていじめ問題に対応しなければならない。とりわけ,特別支援学校である本校には,様々な児童生徒が在籍し,年齢差も大きい。障害の特性や程度により,個々の能力差が大きく,それが顕著に表れやすい面がある。学校生活全般,学習活動全般を通して「できる」「できない」が表面化しやすく,常に意識されやすい。障害特性をその児童生徒の「個性」ととらえ,どの子の個性も認め尊重し合う校風を作っていく必要がある。

一方,学校以外の地域社会においては,本校児童生徒はいじめの対象者になりやすい傾向がある。いじめに負けず,自分の人権を守り,主張できる姿勢を育てる必要がある。

そこで,いじめ防止のための基本姿勢として次の5点を挙げていじめ未然防止に取り組むこととする。

①いじめを許さない,見過ごさない雰囲気づくりに努める。

②児童生徒の一人一人の自己肯定感を高め,自尊感情を高める教育活動を推進する。

③いじめの早期発見に努める。

④いじめの早期解決のために,学校内だでけなく専門家とも協力して解決にあたる。

⑤学校と家庭が協力して,事後指導にあたる。

2 いじめの未然防止のための取り組み

児童生徒一人一人が認められ,お互いに相手を思いやる温かい雰囲気づくりに学校全体で取り組む。また,教師はすべての児童生徒が授業に参加でき,授業場面で活躍できるための授業改善を行う。そして「いじめは絶対に許されないことである」ということを教育活動全体を通じて児童生徒に指導する。
(1)いじめを許さない,見過ごさない雰囲気づくりに努める。
ア 児童生徒会を中心としたあいさつ運動やありがとうの学校などを基本に明るい雰囲気づくりを進める。また,他学部の児童生徒についても理解を深め,学校行事(運動会,文化祭,修学旅行,遠足など)などの場面でお互いに応援し合う温かい雰囲気の学校を作る。
イ 人権作文や人権標語などへの応募を通して,人権意識を高めることによっていじめを行わない環境づくりを行う。
ウ いじめの温床ともなりうる携帯電話やインターネットの使用について,発達段階に応じて適切な使用についての指導を行い,保護者への啓発活動を行う。
(2)児童生徒一人一人の自己肯定感を高め,自尊感情を育む教育活動を推進する。
ア 授業での発表形式や係活動での役割分担などで児童生徒一人一人が活躍できる学習活動や,学校行事(運動会,文化祭,修学旅行,遠足など)でお互いに協力し合い,助け合う活動を推進する。
イ 朝の会や帰りの会,自立活動,その他学習活動において人間関係を形成するための活動や学習を行い,自分と他人とでは思いや考えが違うことを知り,その中で他人の役に立ったり,他人から認められたりする経験を通して自己肯定感や自尊感情を育む。
ウ 個々の課題を明らかにして,見通しをもって学習に取り組める教育活動を実践する。
エ さまざまな学校行事(運動会,文化祭,修学旅行,遠足など)や他校との交流活動(地域交流,学校間交流,居住地校交流)などを通して,人と分かり合える楽しさやうれしさを実感できる力を育成と人間関係づくりを行うことで,他者とのコミュニケーション力の育成を図る。
(3)インターネットを通じて行われるいじめへの対応

本校児童生徒は,将来的な社会参加に向け,インターネットを様々な学習の中で積極的に活用している。また,家庭でも情報収集等のために利用する機会も多く,電子メールを使ってのコミュニケーションに長ける児童生徒も多い。このような現状を踏まえ,インターネットの使用について自ら判断し,適切に活用できるように,普段の授業だけでなく,外部専門講師等を積極的に活用した情報モラル教育を推進する。

3 いじめの早期発見・早期解決に向けた取り組み

(1)いじめの早期発見のための取り組み
ア 「いじめは,どの学校でもどの児童生徒にも起こりうるものである。」という基本認識に立ち,全ての教職員が児童生徒の様子を見守り,日常的な観察を丁寧に行うことにより,児童生徒の小さな変化を見逃さない鋭い感覚を身に付ける。
イ 様子がおかしいと感じた児童生徒がいる場合は,学年会や学部会などの場で気づいたことを共有し,より多くの教職員の目で当該児童生徒を見守る。
ウ 児童生徒の様子に変化がみられる場合には,教職員が積極的に働きかけを行い,児童生徒に安心感を持たせるとともに,解決すべき問題がある場合は当該児童生徒から悩み等を聞く。
エ 「学校生活に関するアンケート」を年2回(5月,9月)実施し,児童生徒の悩みや人間関係を把握する。
オ 悩みや不安などを打ち明けられる教育相談や,手紙などによる訴えを受け入れる相談ボックスを活用する。
(2)いじめの早期解決のために,全職員が一致団結して問題の解決にあたる。
ア いじめ問題を発見した場合,学級担任だけで抱え込むことなく,学校長以下すべての教職員が対応を協議し,的確な役割分担をしていじめの問題解決にあたる。
イ 情報収集を綿密に行い,事実確認をした上で,いじめられている児童生徒の身の安全を最優先に考え,いじめている側の児童生徒に対しては,毅然とした態度で指導にあたる。
ウ いじめられている児童生徒の心の傷を癒すために,養護教諭と連携を取りながら指導を行う。
(3)家庭と連携した取り組み
いじめ問題が起きた時は家庭との連携をより一層密にし,学校側の取組についての情報を伝えるとともに,家庭での様子や友達関係についての情報を集めて指導に活かす。
(4)関係機関や専門家との協力・連携
ア 教育研修センター,児童相談所,警察などと協力して解決にあたる。

イ いじめられている児童生徒の心の傷を癒すために,臨床心理士など専門機関との連携を取りながら指導を行う。

4 いじめ問題に取り組むための取組

(1)学校内の組織
ア 学部会
月1回の各学部会において,教職員で児童生徒についての現状や指導について,情報交換及び対応について話し合いを行う。
イ 職員会議
月1回の職員会議において,全校教職員で児童生徒についての現状や指導について,情報交換及び対応についての共通理解を図る。
ウ いじめ問題対策委員会
いじめ防止に関する措置を実行的に行うため,校長,教頭,教務主任,部主事,生徒指導主事,統括コーディネーター,養護教諭,当該学年主任による「いじめ問題対策委員会」を設置する。さらに,校長が必要と認める場合は,専門的な知見を有する者などを加えるなど,柔軟に委員会を編成して対応する。
(2)重大事態及び緊急時の対応等
いじめによる重大事態(法第28条)が発生した場合は,その場で適切な処置をとるとともに,部主事又は教頭(副校長)に報告する。教頭(副校長)は校長に報告し,校長の指示により敏速に「いじめ問題対策委員会」を開き,支援体制をとるなどの問題解決にあたる。

また,教育委員会からの指示がある場合は,調査・報告を行う。併せて,児童生徒・保護者に対して適切な時期に説明を行う。

5 学校評価における留意事項

いじめを隠蔽せず,いじめの実態把握及びいじめに対する措置を適切に行うため,次の5点を学校評価の項目に加え,適正に自校の取組を評価する。
(ア)いじめの未然防止に関する取組に関すること。
(イ)いじめの早期発見に関する取組に関すること。
(ウ)いじめへ対処するための取組に関すること。
(エ)いじめの再発を防止するための取組に関すること。
(オ)いじめの取組についての関係機関との連携に関すること。
以上の評価を通じて,いじめへの取組が計画どおりに進んでいるかどうかのチェックや学校の基本方針等について体系的に見直し,必要に応じて年間計画等の修正等を行い,より適切ないじめの防止等の取組について検証する。

 

平成26年4月作成
令和2年4月一部改訂